からくりパノラマ陳列台
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■広島観音マリーナ2

■解説

船と言えば、二年ほど前に初めて 釣り船に乗る機会を得た。 友人宅の近所のおじさん連中に誘われるままに 早朝6時頃に出航。 釣り船とはいえ400馬力もあるエンジンは 私の想像を遙かに超えて力強く、 舳先を大きくあげながら猛スピードで沖へと突き進んだ。 波を砕いて大きく揺れる船に私はまるで子供のように はしゃいだものだが、楽しかったのはそのときまでだ。 三津浜沖辺りに停泊して釣り作業開始、というわけだが 停止した小型船舶ほど気持ち悪く揺れるものはない。 ちゃぷんちゃぷんと緩やかに、いつまでも揺れ続ける船上、 なるほど一寸法師のお椀の船はかくごとくであったわけか、と 考えたりもするわけだが、 程なく私は酔い果ててしまった。 竿を振ったのはほんの数度だけ、 それから丸半日、12時間もの間、 私はちゃぷちゃぷと揺れる船に寝転がったまま 身動きもしない物体と化していたのであった。