からくりパノラマ陳列台
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■伊予鉄道路面電車道後駅前

■解説

道後への入り口である伊予鉄道後駅は、 大正時代を思わせるレトロな駅舎である。 今目にすることのできる建物は、 昭和61年に新築されたもの。
かつて道後には二つの駅があった。 一つは伊予鉄道株式会社のもの、 そしてもう一つは松山電気軌道会社という 鉄道会社の駅である。 高浜開港に際して、 街が寂れることを危惧した三津住民達が 高浜まで路線を延長した伊予鉄を怨み、 対抗組織として立ち上げた会社であった。 両者の乗客獲得争いは熾烈で ことあるごとに料金を半額にしたり、 花電車を走らせたりしていた。 当時の新聞を見てみると そこかしこに「半ちん」の文字が躍っている。 元々たいした大都市でもない松山で そのような競争が長続きするはずもなく、 まもなく松山電気軌道会社は伊予鉄道に吸収される。
こうして、何度の戦いに勝ってきた伊予鉄道だが、 今では日本一料金の高い、多額の赤字を抱えた鉄道会社として 有名になってしまっている。 実際、「坊ちゃん列車」が復刻営業を始めたときに その乗車料金が千円であるというのを見て、 みな正気を疑った。 そんな列車を市民が利用するはずがない。 それとも観光客だけで利益がとれると思ったのだろうか。 (現在は300円)